店頭デリバティブとは、取引所を介さず、銀行、証券会社の店頭で取引される金融派生商品のこと。
デリバティブ取引には、先物取引のように、取引が公設の取引所に限定されているものと、自由に相対で取引される店頭OTC取引とがあります。
そもそも、デリバティブとは何かといいますと、預金、為替、債券、株式など従来の金融商品をベースにしながらも、そこから派生して生まれた新しい金融技法をもつ商品です。
代表的なものは先物取引、オプション取引、スワップ取引で、これらを組み合わせた複合商品も開発されています。
従来の金融商品は原資産などとよばれるが、デリバティブは原資産をベースにはしているが、価格形成や商品特性がまったく異なるのが特徴です。
取引に際して、元本に相当する金額の受渡しがないため、デリバティブの元本は想定元本とよばれます。
このため、デリバティブ取引は貸借対照表に載らず、オフバランス取引とよばれます。
<店頭デリバティブ取引の意義>
取引所でのデリバティブ取引が言わば規格化された取引であるのに対して、店頭では、個々の取引当事者のニーズに即応したデリバティブ取引が行われます。
金融・証券取引が高度化する中で、ヘッジや資産運用収益の向上等に対する投資家のニーズはますます多様化しているが、店頭デリバティブ取引は正にこうしたニーズの多様化に応える取引として急速に発展してきています。
また、この取引は、金融・証券業者が創意工夫を発揮して、最新の金融技術を駆使する取引であるとともに、業者の競争力が試される取引でもあります。
店頭デリバティブ取引にはこうした自由度がある反面、取引所取引に比べ信用リスクが大きいことや、必ずしも流動性が伴わないといった点もあります。
したがって、取引所でのデリバティブ取引と店頭デリバティブ取引は、両者が相補う関係にあるといえます。
現在、世界的に金融・証券取引が急速に新たな展開を繰り広げているが、デリバティブ取引は正にその原動力の中心であり、その発展は将来の金融・証券取引の姿を左右する大きな鍵となっています。
こうした中で、我が国においては、有価証券を原資産とする店頭デリバティブ取引について法的制約があることから、諸外国に比べて店頭デリバティブ取引の多様性に欠けるという問題が生じています。
今後の金融・証券取引における店頭デリバティブ取引の重要性にかんがみれば、その健全な発展のために、早急に所要の法的整備を行い、我が国市場の国際的競争力の確保に努めていく必要があります。