根抵当権(ねていとうけん)とは銀行と企業の間で、一定額の抵当(担保)を入れておき、その担保内であれば、取引ごとに抵当を入れなくて良くする。
この際、最初に銀行に入れた抵当のことをいます。
これに対し、通常の抵当権は特定の債権を被担保債権とします。
根抵当権は特定の債権を担保するものではないため付従性(附従性)がなく、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保することに向いています。
たとえば、商工ローン業者の多くは、500万円の融資を行う場合でも、1000万円までの融資枠を設けて、その枠に応じた根抵当権を不動産などに設定するというようなことを行う。
債務者は、その資金枠目いっぱいまで追加融資を受けることができる。
<例>
B会社と取引のあるA銀行が、B会社に融資することによって生じる金銭債権に、担保権の設定を受けておきたいと考えたとすると、
普通抵当権の設定を受けた場合、被担保債権は特定の債権なので、新たな融資債権が生じた場合には、別の抵当権の設定を受けなければならなくなります。
これでは抵当権を設定するための登記費用もばかにならないし、手間もかかります。
また抵当不動産に後順位抵当権が設定されていた場合には、新たな抵当権は当該抵当権に劣後することになり、担保としての実効性にもとぼしい。
この点、根抵当権であれば、設定行為において、AB間の銀行取引によって生じるAの債権を被担保債権としておきさえすれば極度額の範囲内で、全ての融資債権が根抵当権によって担保されるから、普通抵当権のような問題は生じません。